国内移行手続(一般論)
国内移行手続は、国際出願を各国の国内手続に係属させるための手続をいいます。国内移行手続を行わなければ各国で権利を取得することができない点で、国内移行手続は極めて重要な手続となります。
1 移行国
通常は、原則として、各国に直接移行することができます。
但し、広域官庁へ域内移行した後でなければ移行できない国もありますので、注意が必要です。例えばフランスには直接移行することができず、まずはEPOに移行する必要があります。
また、台湾はPCT加盟国ではないので、PCT出願をした後、台湾に移行することはできませんので、注意が必要です。
なお、移行可能な国についての詳細はこちらをご参照下さい。
2 移行期限
国際出願の国内移行期限は、現在、一部の例外を除いて、「優先日から30月」となっています(PCT22条(1)、39条(1))。
各国は、国内移行期限として、優先日から30月より遅い時に満了する期間を定めることができると規定されています(PCT22条(3))。これを受けて、例えばヨーロッパや韓国への国内移行期限は優先日から31月とされています(EPC規則159(1)、韓国特許法201条)。
また、中国では国内移行期限は「優先日から30月」ですが、追加料金を支払うことにより2月の延長が可能となっています(中国専利法実施細則103条)。
3 具体的手続
移行手続は、具体的には翻訳文の提出及び国内手数料の納付等です(PCT22条(1))。
日本に移行する場合は、日本語でなされた国際出願については翻訳文の提出は不要ですが、国内書面の提出及び国内手数料の納付は必要となります(特許法184条の5)。また、国際段階で19条補正・34条補正が行われている場合には、これらの補正書の写しを国内処理基準時の属する日までに提出する必要もあります(特許法184条の7、184条の8)。新規性喪失の例外適用を受けることを希望する場合には、国内処理基準時の属する日後30日以内に、その旨を記載した書面及び証明書面を提出する必要があります(特許法184条の14)。
外国に移行する場合には、翻訳文の提出が必要となります(PCT22条(1)、39条(1))。