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移行形態

ルート1及びルート2のどちらも選べる場合、どちらを選ぶべきか?

 EPC締約国の多くでは、下記ルート1及びルート2のどちらを選択することも可能です。
ルート1:国際出願を「欧州段階」へ移行し、欧州特許を取得する
ルート2:国際出願を直接「国内段階」へ移行し、国内特許を取得する

 ルート1とルート2のどちらを選ぶかを考えるうえで、重要なポイントは例えば以下のとおりです。
(1)保護を求める国は?
 特定の1国でのみ保護を求める場合には、費用等の面から、ルート2をとる方がよいと考えられます。
 一方で、3~4以上のEPC締約国で保護を求める場合には、一般に、ルート1をとる方が費用を安く抑えることができるといわれています。また、ルート1をとる方が、多数の国それぞれに国内移行するよりも、手続や翻訳の負担が軽くなります。
 また、国内(欧州)移行期限までに保護を求める国を決めきれない場合には、一旦ルート1により欧州特許を取得することが一案です。Euro-PCT出願については、欧州特許についてEPC締約国がみなし全指定されます。そして欧州特許付与後に、実際に保護を求める国に対して、必要に応じて、翻訳文の提出、庁費用の納付、代理人の選出を行うことになります。そのため、ルート1をとった場合、保護を求める国の選択を先延ばしにすることが可能です。

(2)発明の分野は?
 特許性の判断を行うのは、ルート1では欧州特許庁であるのに対して、ルート2では各国の機関です。欧州特許庁と各国の機関とでは、審査実務が完全に一致しているわけではないため、どちらかのルートをとる方が権利化しやすい場合もあります。

 判断に迷う場合は、ぜひご相談ください。

その他の審査早期化の手段※1

1 規則70(2)の通知を受ける権利の放棄

(1)規則70(2)の通知とは、拡張欧州調査報告の送付後になされる通知です。原則として、出願人はこの通知から6月以内に審査継続の意思を示す必要があります。この通知を受ける権利を放棄することで、審査を早期化することが可能です(規則70(2))。

2 規則161/162の通知を受ける権利の放棄

 規則161/162の通知は、当該通知から6月を期限として出願人に自発補正の機会を与えると共に、必要なクレーム手数料の支払いを求める通知です。この通知を受ける権利を放棄することで、欧州特許庁は当該通知を行うことなく、拡張欧州調査報告の作成へと手続きを進めます。これにより、自発補正のための6月という期間をスキップする分だけ、原則として審査を促進させることができ、また、欧州特許庁に支払う年金も原則削減できます(規則161/162)。

3 欧州特許庁への早期移行

 国際出願から欧州に移行する場合には、優先日から31月以内に欧州へ移行する必要があります。欧州に31月よりも前に移行し、Early processingを申請することで審査の開始時期を早めることが可能です(Guidelines for Examination Part E Chapter IX 2.8)。なお、Early processingを申請しなければ欧州に早期に移行したとしても、審査は開始されません。
 早期権利化により費用(維持年金等)削減も期待できます。